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創世記 29章1〜14節     2015年3月27日

ヤコブは母の兄ラバンの娘ラケルと母の兄ラバンの羊とを見た。そしてヤコブは進み寄って井戸の口から石をころがし、母の兄ラバンの羊に水を飲ませた。ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。(10〜11)

 ヤコブは伯父ラバンの家に行くように言われていましたが、住所も地図もない時代です。一体、どのようにラバンの住んでいるところにたどりつけばよいのでしょう。ラバンに会ったことなど一度もありませんし、また今と違って、写真や映像もありません。不安がないと言えば嘘になったでしょう。しかし、神はヤコブを間違いなく、伯父ラバンの家へと導いてくださいました。ヤコブは伯父ラバンの羊を飼っていた従姉妹のラケルと出会います。それは自分の母リベカがアブラハムのしもべと出会った時と同じように、井戸のある場所でした。井戸は、人々が集まり、出会う、とても大切な場所だったのです。
 ヤコブは自分が伯父ラバンの家に間違いなく導かれたことを思い、「声を上げて泣いた」と書かれています。それまで押さえていたものがこみ上げてきたのでしょう。ヤコブは伯父ラバンに全部を話し、受け入れられたのでした。

創世記 29章15〜20節    2015年3月28日

こうして、ヤコブは七年の間ラケルのために働いたが、彼女を愛したので、ただ数日のように思われた。(20)

 ヤコブは伯父ラバンの家に居候しながら、家畜の世話を手伝っていたようです。ある日、伯父ラバンはヤコブにタダ働きは何だから、報酬を決めようと持ちかけました。ヤコブは、ラバンの妹娘ラケルのために七年働きますと申し出ます。ラケルはハランにやってきたヤコブが最初に出会った身内でした。羊を飼う仕事をしていたところからも、彼女が外交的で、快活な女性であったことが想像できます。それだけでなく、彼女は美して愛らしく、目のきれいな人だったのでしょう。一ヶ月の滞在だけで、ヤコブはすっかりラケルが好きになってしまったのです。
 ラバンはヤコブの申し出を受け入れ、七年の働きの報酬として、娘ラケルをヤコブに嫁がせることを約束します。七年間というのは決して短い期間ではありませんし、住むところや食糧は保証されたとしても、七年分の労働というのは大きな犠牲でもあったと思います。しかし、ヤコブにとってはそれは何でもありませんでした。ラケルを愛していたからです。愛は、犠牲をも「犠牲」と思わせないのです。

創世記 29章21〜30節    2015年3月29日

朝になって、見ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに言った、「あなたはどうしてこんな事をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために働いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」。(25)

 ついに、七年間が過ぎ、ヤコブの結婚の日がやってきました。この日のために、暑い日も寒い日も、日照りの日も、雨の日も励んで来たのです。宴が設けられ、最初の夜を二人だけで過ごし、朝が来たとき、ヤコブは愕然とします。そこにいたのはラケルではなく、ラケルの姉レアだったのです。顔の大部分を布で覆うような衣装を身につけていたら、夜には気がつかなかったのでしょう。
 ヤコブはラバンに「どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」と詰め寄ります。ラバンは妹の方が先にお嫁に行くのはまずいからと、弁解をしますが、それならそうと前もって言っておいてくれたら良いだけの話です。明らかにラバンはヤコブをだましたのでした。ヤコブは妹ラケルをも自分の嫁として与えられるのですが、そのためにさらに七年間の無償労働を強いられます。
 父イサクをだまし、兄エサウを出し抜いたヤコブがここではだまされる痛みを経験することになったのでした。

創世記 29章31〜35節    2015年3月30日

主はレアがきらわれるのを見て、その胎を開かれた(31)

 ヤコブは伯父ラバンにだまされたのですが、被害者はヤコブ以上に、父ラバンにいわば「売られた」、娘たちの方かもしれません。レアにとっても、ラケルにとっても、ある意味、不幸なことでした。ラケルは結婚式の直前に自分も愛していたヤコブが姉と結婚してしまうというショックを通らなければなりませんでしたし、レアは夫ヤコブは自分の妹ラケルのことを愛しているのを知っている・・・という苦しみを負っていました。実際、レアはヤコブに嫌われていたのです。
 しかし、主はレアの苦しみを見ておられました。そして主は、レアに次々に子どもを与えられます。ルベン、シメオン、レビ、ユダ・・・子どもが生まれるたびに、「主がわたしの悩みを顧みられた」「主はお聞きになった」「わたしは今、主をほめたたえる」というように、レアは神を賛美します。嫌われていたレアを神は見ていてくださいましたし、祝福してくださいました。そして、このレアの産んだユダの子孫の中からダビデ王が生まれ、そしてやがて救い主イエスがお生まれになります。



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