出エジプト記4章1~9節

すると主は彼に、「あなたの手にあるそれは何か」と言われた。彼は「杖です」と答えた。(2)

 モーセはなおも尻込みしています。自分の中にある恐れや戸惑いも理解していただいて、よりふさわしい方を遣わしてほしいという願いがあったのでしょう。そもそも、自分がエジプトに行ったところで、エジプト王どころが同胞のイスラエルの人々さえ、自分の言葉をまともに聞いてくれないのではないかと心配しています。背後に四十年前の挫折体験があったことも確かでしょう。
 その時、主はモーセに「あなたの手にあるそれは何か」と問われます。もちろん、神は全部知っておられます。けれども、ここで主は特別な何かではなくモーセが日常的に用いているものを用いられます。それはモーセが使い慣れた羊飼いの杖でした。もちろん、モーセは「杖です」と答えます。そしてモーセが神の語られる通り、その杖を投げると蛇になり、その蛇の尾をつかむとまた杖に戻りました。またモーセが自分の手を懐に入れると病に打たれて白くなり、またもう一度手を懐に入れると元通りになりました。主は、私たちが生活の中で慣れ親しんだものを用いてご自身のしるしとなさるのです。