創世記33章1~20節

するとエサウは走り寄ってヤコブを迎え、抱き締め、首を抱えて口づけし、共に泣いた。(4)

 神との格闘と言えるペニエルの経験はまさに、ヤコブの真剣な祈りの体験でもあったでしょう。彼は力を与えられ、へりくだって兄エサウに近づいていきます。しかし、エサウは走り寄ってヤコブを迎え、ヤコブを抱きしめ、口づけし、一緒に泣いたのでした。二十年という年月がすでにエサウの心を溶かしていたのでしょう。また、ある意味、主がこの期間、エサウをこの世的にも豊かに祝福し多くの持ち物を与えてくださったことも、彼の心に余裕を与えたのだと思います。言いようによっては、エサウはやっぱり、神の祝福を受け継ぐということにはどこまでも本当の意味で関心がなかったのでしょう。
 主の憐れみの中で感動的な再会を果たしたヤコブでしたが、彼はまだ、本当の意味でエサウを信頼することができなかったのでしょう。エサウと違う道を行って、シェケムの町の前に宿営します。しかし、このシェケムの町に宿営したことはヤコブとその家族にとても暗い影を落とすことになります。