創世記3章1~7節

蛇は女に言った。「いや、決して死ぬことはない。それを食べると目が開け、神のように善悪を知る者となることを、神は知っているのだ。」(4~5)

 ここで蛇にあらわされているのは人を誘惑し、だまそうとする悪魔です。この時の蛇は「主が造られたあらゆる野の獣の中で最も賢い」存在でした。しかし彼はその知恵を人を欺くために用います。蛇は女に近づいて、神の愛と善意を疑わせ、また神の言葉を少しずつねじ曲げて、最後は、神の言葉を否定し、神とその御言葉に対する疑いを起こさせます。「それを食べると目が開け、神のように善悪を知る者となる」と言われた時、女は神のようになりたいと思います。罪の本質はまさに自分が神になるというそこにあります。
 そして女はその実を取って食べ、一緒にいた夫にも与えました。最初に罪を犯したのは女だという議論があります。確かにその通りです。しかし、ここである学者が「アダムの沈黙」という本を著して、女がこの実を食べた時、男はただ黙って見ていたと言います。男は女と一緒にいたと書かれているからです。夫は決して自己正当化できないでしょう。彼もその実を食べたからです。