使徒21章

その時、パウロは答えた。「泣いたり、私の心を挫いたり、一体これはどういうことですか。私は、主イエスの名のためならば、エルサレムで縛られることばかりか死ぬことさえも覚悟しているのです。」(13)

 エフェソの長老たちと別れたパウロは、船で旅を続け、ティルス(ツロ)に寄港します。パウロたちはそこで弟子たちのところに七日間滞在し、その後、カイサリアに行き、そこでは、サマリア伝道や、エチオピアの宦官への伝道でも活躍したフィリポの家に滞在します。
 ティルスでもカイサリアでも、パウロはこれから進んでいくエルサレムへの旅に大きな危険が伴うことを警告されます。パウロは聖霊に導かれ信仰の決断をして旅をしていました。また、パウロに危険を告げた人たちもまた神の霊によってそのことを知らされ、霊の促しを受けてパウロにそのことを伝えました。その意味では、パウロにとって彼らの警告は、これから起ころうとしていることが確実であることを知らせ、躊躇を起こさせるのではなく、ますます確信を強くさせるものとなったことでしょうし、パウロの同行者たちもまた、同じ信仰と覚悟に導かれたことでしょう。危険が分かっていても進むべき時があるのです。