この章に出ているヘロデ王は、主イエスがお生まれになった時にイスラエルを治めていたヘロデ大王の孫に当たる人物です。とても力があり、祖父のヘロデ大王とほぼ同じ領域を王として治めることをローマ皇帝から許されていました。そして彼はユダヤ人たちの機嫌をとろうと、十二弟子の一人、ヨハネの兄弟ヤコブを捕らえ、すでに殺害していました。そしてヘロデはさらにペトロをも捕らえ、祭の後で引き出して民衆の求めに従って処刑しようと思っていたのでした。
しかし、教会ではペトロのために熱心な祈りがささげられていました。ヤコブの時には祈っていなかったというわけではなかったでしょう。しかし、ヤコブの殉教はなおさら教会に切実な祈りを引き起こしたことと思います。そして主は御使いを遣わしてペトロを救い出してくださいました。ペトロも夢を見ているかのようでしたし、教会の人々も祈っていたのに、それが彼らが願う以上の方法で答えられた時、信じることができず、戸惑いを感じるほどでした。