マタイによる福音書には山の上の説教という一連の教えがありますが(五~七章)、ルカはここで平地の説教と呼ばれるイエスさまの教えを書き記しています。この山の上の説教と平地の説教は似ているところもありますが、強調点の違う部分も多くあります。比較してみるととても興味深いと思います。
さてここで主イエスは「敵」「あなたがたを憎む者」「呪う者」「侮辱する者」をあげていかれます。私たちの生きる世界の中では、たとい私たちに落ち度がなく、いつも愛と善意を向けていても、敵対心を持って向かってくる人がいたりします。「よし、そちらがその気ならこちらも・・・」と敵意に敵意を、憎しみに憎しみを返すのではなく、主イエスは、敵には愛を、憎しみには親切を、呪いには祝福を、侮辱には祈りをとおっします。確かにそのような生き方は見える世界だけを切り取ったらとても損でわりに合わないように感じます。しかし、まさにこれがイエスさまの生き方だったのです。