昔から人々を鼓舞するような扇情的なスピーチというものがあります。そして、そのような雄弁なスピーチが人々を動かしていくということはよくあることです。そのような雄弁家たちは大声を上げて、単純で短いフレーズを繰り返し、人々の気持ちをかきたて、また一つにしていきます。ただそれではそのような力強いスピーチが真実かというとそれは分かりません。彼らは自分の思う方向に巧みに人々を誘導していきます。
コヘレトはここで、別のタイプのスピーチについて語ります。それは「静けさの中で語られる知恵ある者の言葉」です。彼は叫びません。感情的な言葉で人々をグイグイ引っ張っていくということもありません。彼は静かに語りかけます。しかし、彼の話すことは真実です。そして聞く人を生かし、国を正しく導いていきます。群衆というのは大きな声で語る人についていってしまう傾向があります。しかし、誰の言葉が正しかったかは、歴史の中で必ず証明されていくのです。