コヘレトの言葉1章

ダビデの子、エルサレムの王、コヘレトの言葉。
コヘレトは言う。空の空、空の空、一切は空である。(1~2)

 口語訳聖書・新改訳聖書では、「伝道者の書」と呼ばれていますが、新共同訳・聖書協会共同訳では伝道者と言われている言葉をそのまま音訳して「コヘレト」と言っています。人々を集めて教える人を指していたようです。ここでコヘレトは、ダビデの子でエルサレムの王でした。「子」という言葉は「子孫」という意味でも用いますので、ダビデの孫でもひ孫でもよいのですが、内容から言っても、また伝統的な理解でもソロモンの言葉ということでよいと思います。
 ここで、彼は、「空の空、空の空、一切は空」と言います。どんなに苦労して何かをしたとしても何も変わらないし、疲れるばかり。地の上には何も新しいものはない。知恵を得ていろいろなことを理解し、極めようとしたけれど、結局大切なことは分からないし、また知恵が深まると、悩みや痛みも増し加わるばかりだと言うのです。結局、人間が何かを握ったり、また極めたところで、そういったものは皆、虚しいのです。私たちは何を追い求めたらよいのでしょうか。