詩編の記者は危機の中にあって祈っています。個人的な危機というよりは国の存亡に関わるような危機です。周辺の国々がそろって手を組み、イスラエルに対して陰謀を図り、イスラエルを滅ぼそうとしています。そして、彼らの背後には大国アッスリアもいるのです。
ただ、この記者は、祈りながらも、神が沈黙し、静まりかえっておられるように感じて、不安を覚え、なお祈りつつ、主の御前に「ご覧ください」と訴えます。また過去に主がイスラエルの上に成してくださったことを思い返しながら、主の救いを待ち望みます。
この詩編の記者は、ただ単にイスラエルの救いが成されることを求めているのではありません。単に敵が滅ぼされることを求めているのでもありません。彼らが主の名を求めるようになること、彼らが、主だけが全地の上におられるいと高き方であることを知るようになることを求めているのです。