詩編78編

それは、後の世代、生まれ来る子らが
これを知って奮い立ち、そのまた子らに語り伝えるため
子らが神に信頼を置き、神の業を忘れず
その戒めを守るためである。(6~7)

 イスラエルにおいて、主はご自身の力強い御手によって成し遂げられた救いの御業を忘れることなく思い起こすべきことを命じておられます。それは自分自身の信仰の歩みのためでもあります。私たちは自分の信仰の原点を決して忘れてはなりません。けれども、その神の御業を記憶することは、後の子孫たちのためでもあります。私たちは記憶すると共に、それを次の世代に、またその次の世代にと語り継いでいくことを求められています。そこにこそ、信仰継承の鍵があるのです。主の御業を語り伝えることによって、続く世代も主の戒めを守り、主に信頼して生きるべきことを学ぶのです。
 ここで詩編の記者が書き記すのはイスラエルの歴史の中に神が表してくださった御業であるとともに、そのような恵みの神をいただいているのにも関わらず、神を捨て、神に背を向けて歩んだ先祖たちの姿でもありました。しかし、にも関わらず、主はなおもイスラエルの民に憐れみと救いを与えてくださったのです。