王のための詩編です。イスラエルにおいては、王は主によって選ばれ、立てられた存在であり、神から、その民を治めることを委託されていると考えられていました。そして王もまた、神の前に立つべき一人の人間として、主に従うことを求められていました。ですから王も国のために、また自分のために祈りましたし、民もまた王のために主に祈ることを期待されていました。そして王は、神こそが王の王、主の主なのだということをいつも覚えていなければなりませんでした。
ここでは、王が「叫び声を上げる貧しい人」「助ける 者もない苦しむ人」を救い出すようにと祈られています。人間的にはそのような貧しい人・苦しむ人は忘れられてしまうのが世の常なのだろうと思います。しかし、イスラエルにおいて王に期待されていたのは、そういった傷ついた弱い者たちを助けることでした。王はそのために立てられていたのです。そして、まさに神はそのようなお方なのです。