詩編70編

あなたを尋ね求める人すべてが
あなたによって喜び楽しみ
あなたの救いを愛する人が「神は大いなるかな」と
絶えることなく言いますように。(5)

 作者は敵に命をねらわれています。敵は作者を辱め、また笑いものにしています。作者は自らを「苦しむ者、貧しい者」と言います。ユダヤ人たちはこの詩編の表題を「ダビデの詩」と言います。ダビデは軍人としては、これ以上ないほどの器でした。連戦連勝で向かうところ敵なしと思われたような人物です。しかし、彼は主に助けを求めています。彼の勝利の秘訣は、まさに彼と共にいて彼を支え、助けてくださる主にあったのです。彼は、敵の前にあって、悠長に美辞麗句を重ねるような祈りをすることはできません。「主よ、急いで助けてください」「神よ、私のために急いでください」と叫び求めるのです。
 この詩編の記者は決して、自分のことだけを考えて祈り求めているのではありません。この作者は、彼の証しを聞く人々、また彼と同じように主を求めて生きる者たちが「神は大いなるかな」といつも賛美し続けるためにもこの祈りをしているのです。