詩編56編

神によって、神の言葉を賛美します。
神に信頼し、恐れることはありません。
肉なる者が私に何をなしうるでしょう。(5)

 この作者も主に向かって叫びます。叫ばないではいられない厳しい状況があります。昼も夜も作者のことを苦しめ、追い込もうとする人たちがいます。敵は作者に戦いを挑み、作者を虐げ、踏みにじります。しかし、この作者はそのような状況の中で、なお神に対して「あなたに信頼します」と祈ります。
 置かれた状況を考えれば恐れがなかったわけではないでしょう。しかし、どんなに誰かが悪をたくらみ、自分に危害を加えようとしたとしても、主が共にいてくださり、主が守り支えてくださるとしたら、人は自分に何ができるでしょうか。
 そして、この詩編の記者は神の言葉に心を向けます。神が作者の魂にその御言葉を思い起こさせてくださって、その主の御言葉が作者に勇気を与え、命を与えます。神の御言葉が自分を支える・・・この作者は神を賛美し、その御言葉にすがるのです。