詩編32編

幸いな者
背きの罪を赦され、罪を覆われた人。
幸いな者
主に過ちをとがめられず、その霊に欺きのない人。(1、2)

 この詩編は五一編と並んで、ダビデの悔い改めの詩編とされています。冒頭にある小文字の表題は後日、ユダヤ教徒たちによって加えられたものとされており、実際にダビデが歌ったかどうかは確定できません。ただいずれにしても、ユダヤ人たちがこの詩編を読むときに、ダビデが罪を犯した時のことを思い起こしたのです。ダビデは自分の部下ウリヤの妻バト・シェバと関係を持ち、彼女が妊娠したことを聞くと、それをもみ消すために、夫ウリヤを戦いの最前線に送り込んで殺害しました。
 ダビデはそのことを隠し、沈黙して、なかかったことにしようとしました。けれども、主は全部をご存じでしたし、ダビデがそれを隠そうとしたときに、彼は大きな苦しみを経験したのでした。
 ダビデはついに自分の罪を神と人の前に告白します。そして主もその罪を赦してくださったのでした。ダビデは罪赦された者の幸いを歌います。