ヨブは口を開いて語り出します。友人たちの沈黙の七日間があって、はじめてヨブは語り出すことができたのです。ヨブがここで語る言葉は勇ましい信仰の言葉や、静かな平安に満ちた言葉ではありませんでした。まさにそれは心の底から出てくる嘆きです。しかし、ヨブが正直に自分の思いを口にすることができたということの中に、友人たちが沈黙しながらも、そこから立ち去るのではなく、ヨブと一緒にそこに座っていたということがあったと言えます。その意味ではここまではヨブの友人達はとても優れたカウンセラーであったとも言えるでしょう。
ヨブは自分の生まれた日を呪います。自分は生まれなければ良かったというのです。ヨブの苦しみがどんなに大きなものであったかがこのヨブの嘆きの言葉からも伝わってきます。多くのものを失ったということもそうでしょうし、最愛の息子たち・娘たちを失ったのもそうでしょう。身体の痛み・かゆみもそうでしょう。しかし、まだ、友人たちにはヨブの苦しみの深さは分かっていませんでした。