ベニヤミン族の系図はすでに七章で取り上げられていますので、この八章の系図はイスラエルの最初の王となったサウルの出自について記録するために、書き加えられたものではないかとされています。
そもそもベニヤミンは、ヤコブの十二人の息子たちの中では最年少であり、士師記によれば、ベニヤミン族は一度大きな罪を犯して滅ぼされかけています。ある意味での肩身の狭さといったものもあったことでしょう。神の憐れみによって残され、生かされてきたのです。
そしてサウルの属する氏族は、そのベニヤミン族の中でもさらに小さな氏族だという自覚をサウルは持っていました。しかし、そのようなサウルを主は選び、全イスラエルを治める初代の王として立てられたのです。
そのサウルの家系の中でも息子ヨナタンは、ダビデの親友としてその血筋が守られていきます。ダビデとヨナタンの友情の結んだ実をこのようなところにも見るように思います。