ペリシテの陣営から戻されていたダビデでしたが、サウルやその息子たち、そしてイスラエルの人々のことをずっと心配していたことでしょう。しかし、そんなダビデのもとに、サウルの陣営から来たという一人の男がやってきて、サウルやヨナタンの死を告げたのでした。彼はサウルが傷を負ってもう助からないことは明らかだったので、サウルの求めに応じてとどめを刺したと述べたのでした。
この男の証言はサムエル記上三一章の記述とは食い違っています。彼は自分の証言をダビデは喜ぶだろうと思って、話を作ってしまったのかもしれません。しかし、ダビデは主に油注がれた王に手を下したと証言したこの男を赦しませんでした。
そしてダビデはサウルとヨナタンの死を悲しんで歌をうたいます。後に王国が分裂した時、ダビデ王朝を支えたのはダビデの出身部族のユダ族とサウルの出身部族であるベニヤミン族でした。サウルやヨナタンを大切に思うダビデの姿はベニヤミン族の人々にも届いたことでしょう。