主が王を求めるイスラエルの民のために選ばれたのはベニヤミン族に属するキシュの子サウルでした。キシュについては「力ある勇士であった」と記されているのですが、サウルの登場の場面は何ともこっけいでもあります。サウルは父の雌ろばが数頭いなくなってしまったので、その雌ろばを捜して従者と共にいろいろなところを訪ね、その雌ろばのことについて神に尋ねてもらおうとサムエルのところに現れたのでした。
「見よ、この男だ」と主はサムエルに語られました。そして、サムエルは、イスラエルの全期待を集める者、イスラエルの王として立てられている者としてサウルに声をかけます。しかし、サムエルは自分はベニヤミン族の者で、しかもその部族の中でも末席に連なる者と固辞します。士師記の最後でベニヤミン族は一度滅びかけた民族であることを見ました。しかし、主はその子孫のうちから、またその部族の中でも「末席に連なる」サウルを選び、ご自身の民を治めるために立てられたのです。