十七~二一章に記されていることは、神に選ばれ、聖なる、宝の民とされたイスラエルに起こった出来事としては何とも不思議な、理解に苦しむ事柄です。この一七章だけでも、ミカが母親のお金、銀千百シェケルを盗んだこと、ミカが自分の盗みを母親に告白したとき、母親は彼を祝福したこと、母親はミカが返した銀で偶像を作って自分の家に置いたこと、自分の息子の一人を偶像の宮の祭司にしていたこと、ベツレヘム出身のレビ人の青年がミカの家に来た時、ミカはこのレビ人に報酬を与えて偶像の宮の祭司として雇ったこと・・・。
起こってはならないことが何の罪悪感もないかのようにして次々に起こってきて、まるでおかしいと思っている自分の方がおかしいのかしらと不安になるほどです。士師記の記者は、「その頃、イスラエルには王がいなかった」と言います。何が正しいかをきちんと指し示す王がいなかったために、自分がよいと思うことをしている・・・。自分がよいと思っていても、それは明らかにおかしい、間違ったことでした。