この章の初めには離婚に関する規定があります。後の時代になると、このような離婚に関する言及を盾にとって、離縁状を渡したら離婚ができるのだと安易に考える人が出てきました。しかし、この規定は、全く逆の意図をもって定められたもので、安易な離婚が行われることなく、また立場の弱い女性の人権が守られるために定められたものです。主イエスは、神にあって結ばれたものとして結婚を重んじることを命じられました。
またこの章では、寄留者や孤児、寡婦たちの権利を守り、立場の弱い人たちにやさしい社会を築くことが命じられています。それはたとい、イスラエルの民が豊かな祝福をいただき、富み、栄えるようになっても、かつて自分たちがエジプトで奴隷であったことを忘れないためでもありました。主の憐れみと、その力強い御手による救いによってイスラエルの民は救われました。ただ自分たちがかつてどのようなところにいたか、主の恵みがどんなに大きかったかを忘れてはならなかったのです。