モーセはイスラエルの民に荒れ野での四十年間を思い起こさせています。二百万とも言われるイスラエルの民が荒れ野で四十年間を過ごしたということ自体がまさに奇跡と言えます。栄養のバランスのよい食物が必要ですし、その大量の食物を毎日備えなければなりません。飲み水もそうです。もし食糧や飲料水がなかったら、イスラエルの民はあっという間に倒れ、滅んでしまったでしょう。しかし、主はイスラエルの旅路を見守り、共にいて、その歩みを祝福してくださいました。荒れ野にいたにも関わらず、「何一つ不自由しなかった」のでした。
その意味では四十年間、不自由しない荒れ野生活をしたとしたら、もうそのまま荒れ野を拠点としてそれからも歩み続けていたら、カナンの地の戦いもしないでもすみます。しかし、同時に、ここで主は「もう十分」とおっしゃり、向きを北に変えて、新しい歩みを始めるようにとおっしゃったのでした。