兄エサウを信頼できないヤコブは兄を追って進むことをせず、道を分かれてシェケムの町の前に宿営します。ただこのことが大変な問題を引き起こします。ヤコブの娘ディナが、その地の首長ハモルの息子シェケムに乱暴され、辱められたのです。カナンの地においてはしばしば起こることだったのかもしれません。しかし、神の祝福を受け継ぐ民の中では「してはならないこと」でした。シェケムはディナを愛するようになり、結婚を申し出ますが、兄たちの怒りは消えることはありませんでした。
悪に対して怒るということはとても大切なことでしょう。しかし、兄のシメオンとレビは、策略をめぐらし、その町の男たちを皆殺しにし、またその町に対して略奪の限りを尽くしたのでした。彼らはその怒りを爆発させ、ひとつの町を滅ぼしてしまいました。シメオンとレビは次男と三男でした。長男ルベンは別の理由で祝福を受け継ぐことができず、またシメオンとレビもこの出来事のゆえにはずされて、祝福の約束は四男ユダが負うことになります。