パウロはこの手紙をローマの獄中で書いています。パウロが囚人になっていたのは彼が異邦人に主イエスの救いを宣べ伝えていたからです。そのために彼は患難にあっていました。そしてそのことはエペソ教会の異邦人キリスト者たちのある人たちには大きな失望をもたらすものだったかもしれません。主イエスを信じ、主イエスのしもべとして生き、そして自分たちに福音を伝えてくれたパウロがなぜこのような苦しみを経験するのだろうか。そこには疑問が生じることもあったでしょう。
ただ、パウロはそれでも、自分が与えられている務めを「恵みの務め」として受けとめています。それは神から託された奥義でした。ユダヤ人だけではなく、異邦人もまたキリスト・イエスにあって御国を継ぐ者とされたのです。異邦人もユダヤ人と同じように確信をもって大胆に神に近づき、キリストの無尽蔵の富にあずかることができるというすばらしいメッセージをパウロは託されていたのです。